公開日 2025年12月16日(Tue)
令和7年12月16日(火)の2時間目,遠隔授業の一つである「情報」科目の選択者による「情報【機種依存文字】 探究発表会」が実施されました。
この発表会は,生徒が日頃から取り組んでいる探究学習の成果を共有し,専門家からの講評を通じて,研究の質を高めることを目的としています。

発表テーマ:「データで畑を診る~海抜スコア・損傷率・風速の可視化と検証~」
今回の発表では,「土の柔らかさや風の強さ」と「虫の生息数」という身近な疑問に基づいたユニークな研究が取り上げられました。
「データで畑を診る」というタイトルで,ゴマの収穫量と栽培環境の関係をデータ分析で検証した研究です。
生徒は自らデータを収集し,データサイエンスの手法を用いて分析を行い,その結果と考察を発表しました。


鹿児島大学の坂巻先生によるご講評
発表後には,鹿児島大学農学部の坂巻先生をオンラインでお招きし,発表に対する専門的なご講評と指導をいただきました。
先生からのご質問は,生徒たちのさらなる学びへとつながる重要な視点を含んでいました。
【データ分析と統計的手法に関するご指摘】
先生からは,生徒が用いた分析手法について,以下のような重要な指摘がありました。
・データ量の確保と情報量の維持:
データをスコア化することは,本来データが持っていたはずの情報量を減少させる可能性がある。
今回の研究のようにデータ数が少ない場合,適切な統計的な優位性(有意差)を示すことが難しくなるため,データ収集の量と質が重要である。
・回帰分析と因果関係:
グラフ上に記載されていた線が「回帰直線」であるならば,因果関係がない(証明できていない)のに用いて良いのかを慎重に考えるべきである。
統計的因果関係を仮定する場合,X軸に原因(例:土の柔らかさ),Y軸に結果(例:虫の数)を持ってくることによって,結果(Y軸)のばらつきを原因(X軸)で評価することが可能となる。
【研究の深化に向けた問いかけ】
1.先行研究の調査:「このテーマに関する先行研究を事前に十分に調べましたか?」
既存の研究を知ることで,自分たちの研究のオリジナリティや方向性がより明確になります。
2.虫の同定(種類の特定):「今回の研究で対象とした虫の種類を断定(同定)しましたか?」
特定の虫(例:イモムシ,バッタなど)に絞ることで,環境要因との因果関係がより深く考察できるようになります。
3.環境要因の考察:「なぜ『風が弱い場所』で虫が多くなると考えたのですか?」
飛び回る虫と,地面を這うなど飛び回らない虫では,風の影響の受け方が異なります。その点についてどのように考慮しましたか,等。
坂巻先生からは,データの収集方法や解析の正確性だけでなく,科学的な探究プロセスにおける仮説設定,検証,そして先行研究の重要性について,大変貴重なご指導をいただきました。
今後の探究活動へ
生徒たちは,専門家からの具体的な指摘を受け,自分たちの探究活動に足りなかった視点や,今後の研究の発展性を明確にすることができました。
今回の講評で得た学びを活かし,「情報【機種依存文字】」の授業,そして将来の進路選択や探究活動において,より論理的かつ批判的な視点を持って研究を進めてまいります。

※本取組は,「DX加速化推進事業」の一環です。
