公開日 2026年05月13日(Wed)
喜界高校では、総合的な探究の時間を「がじゅまる」と呼んでいます。
喜界島の象徴でもあるガジュマルのように、地域に深く根を張り、豊かな枝葉を広げるように自らの知的探究心を育ててほしいという願いがあります。
先日、5月1日のオリエンテーションで学んだ「調べ学習と探究の違い」を一歩進め、いよいよ「本物」に触れる時間がやってきました。
令和8年5月13日(水)5時間目、視聴覚室にて、高校1年生を対象に、喜界島サンゴ礁科学研究所の山崎敦子先生をお招きした特別講座が開催されました。
今回のテーマは、「探究テーマを考える」です。
■探究とは、物事の「本質」を見極めること
まず前半の講演では、山崎先生から「探究とは何か?」についてお話しいただきました。
探究とは、単なる調べ学習(インプット)に留まらず、「物事の意義や本質を探って、見極めようとすること」です。
私たちが目指すのは、「知る(調べる)→ 考える → 伝える」というサイクル。このプロセスを通じて、自分なりの答えを導き出す力を養います。
特に心に響いたのは、探究する心をもつための「7つの約束」です。
1.疑問でいっぱい:「当たり前」をスルーしない。
2.全てのことを疑う:「本当にそうかな?」と一度立ち止まる。
3.全ての可能性を否定しない: 突飛なアイデアもまずは受け入れる。
4.わからないことを知っている(無知の知): 謙虚に学び続ける姿勢。
5.自分で確かめたことしか信用しない:自分の足と目で確かめる。
6.納得解を導き出す: データや情報を集め、自分なりの「もっともらしい答え」を導き、解決しようとする。
7.世の中に「100%」はない:常にアップデートし続ける柔軟さを持つ。
まさに、知的探究の原点ともいえる大切な教えをいただきました。
■ワークショップ:足元の「不思議」を掘り起こす
後半は、6名程度のグループに分かれてのワークショップです。机に広げられた真っ白な模造紙を前に、「喜界島で不思議に思うこと」を出し合いました。
生徒たちは付箋を使い、1人3つずつ疑問を書き出していきます。 「サンゴ」「隆起」「人口減少」「海」「ガジュマル」「サンゴ石の活用」……。島の特徴を踏まえた多種多様な付箋が、模造紙の上に集まりました。
■ 生徒たちの鋭い視点:単純な疑問が「研究」のスタート
「研究のスタートは単純な疑問でいい」という山崎先生の言葉通り、会場では身近な「なぜ?」が次々と飛び出しました。
「集落によって言葉(方言)が全然違うのはなんで?」
「なんでこの島には24時間のコンビニがないの?」
「喜界島って本当に隆起しているの?」
「喜界島にサンゴは何種類いるの?」
これらは一見シンプルですが、深掘りすれば「歴史」「地理」「経済」といった専門的な探究へと繋がる立派なタネです。
例えば、集落ごとの言葉の違いをたどれば、島の険しい地形や、かつての交通手段、さらには集落ごとのコミュニティの歴史が見えてくるはずです。これは「言語学」や「歴史学」への入り口です。
コンビニエンスストアについても、「不便だから」で終わらせず、物流のコスト、人口規模、あるいは島独自の商店が果たしている役割を調べてみたらどうでしょう?これは「経済学」や「社会学」という立派な探究テーマになります。
■「がじゅまる」の木を大きく育てるために
出し合った付箋をグルーピングし、最後には各グループで「(仮)探究テーマ」を決定。模造紙の真ん中やスペースに力強く書き込みました。
「世の中に100%の正解はない。だからこそ、自分たちでデータを取り、考え抜く。」
この日、1年生たちは、喜界島という広大なフィールドを舞台にした「探究者」としての第一歩を力強く踏み出しました。これから、ガジュマルの木が長い年月をかけて根を張り、枝を広げていくように、一人ひとりの問いが大きく育っていくのが楽しみです。
山崎先生、貴重な時間をありがとうございました!
※ 本取組は「高等学校DX加速化推進事業」の一環です。
